前十字靭帯(ACL)再建術を受けてから、日常生活の中でも「自分でできること」はたくさんあります。 自宅でのリハビリは、ジムや施設でのトレーニングと同じくらい重要です。 この記事では、トレーナーの立場から安全に行える自宅トレーニング・ストレッチ方法を段階ごとに解説します。
1. 自宅リハビリを始める前に知っておきたいこと
自宅でのリハビリは「量より質」が大切です。 まずは以下の3つのポイントを確認しておきましょう。
- ① 痛み・腫れがない状態で行う: 少しでも違和感があれば中止しましょう。
- ② 回数よりもフォームを意識: 正しいフォームで行うことが再発予防につながります。
- ③ 毎日ではなく“継続できる頻度”で: 週3〜4回など、自分の生活に合ったペースでOKです。
また、手術後の時期によってトレーニング内容は変わるため、医師やトレーナーの指示を優先してください。
2. 術後初期(〜2か月)の自宅リハビリ
この時期は靭帯を保護しつつ、関節を固めないように「小さな動き」から始めます。
2-1. 四頭筋セッティング(膝伸ばし)
ベッドの上で膝の下にタオルを置き、太ももの前(大腿四頭筋)に力を入れて膝を下方向に押しつけます。 5秒キープ → 10回 × 2〜3セット。
2-2. ヒールスライド(膝曲げ)
仰向けで膝を軽く曲げ、かかとを床の上でゆっくりと滑らせながら曲げ伸ばしします。 伸ばす時も完全に力を抜かず、膝の動きを丁寧に感じましょう。
2-3. 足首回し・つま先上下運動
血流促進とむくみ防止のため、足首をゆっくり回したり、つま先を上下に動かします。 リハビリ初期の「循環改善」は回復スピードを大きく左右します。
3. 中期(2〜4か月)に行いたい自重トレーニング
靭帯が安定してきたら、徐々に筋肉を「動かして支える」段階に入ります。
3-1. ヒップリフト(お尻のトレーニング)
仰向けで膝を曲げ、かかとを床につけてお尻をゆっくり持ち上げます。 膝・骨盤・肩が一直線になる位置で3秒キープ。 お尻(大殿筋)と太ももの裏(ハムストリング)を意識しましょう。
3-2. ステップアップ(段差昇降)
階段や低い台を使い、片脚ずつ上り下りを行います。 上る脚の膝が内側に入らないように意識してください。 10回 × 2セット(片脚ずつ)。
3-3. 片脚立ちバランス
壁や机に軽く手を添えながら、片脚で立つ練習です。 30秒キープ × 3セット。 姿勢を崩さずに体幹で支える意識を持ちましょう。
4. 後期(4か月〜)の安定性・動作再教育トレーニング
競技復帰を見据えて、全身の連動性と安定性を高めていきます。 この段階ではスピードよりも「正しい動作」を重視します。
4-1. ハーフスクワット
足を肩幅に開き、背筋を伸ばして腰をゆっくり後ろへ引くようにしゃがみます。 膝がつま先より前に出ないように注意。 太もも前側とお尻の筋肉を意識しながら、10〜15回 × 2セット。
4-2. クラムシェル
横向きで寝て、膝を軽く曲げます。 かかとをつけたまま上側の膝を開き、3秒キープ。 股関節の安定に重要な中殿筋を鍛えられます。
4-3. ランジ
片脚を前に踏み出して、後ろの膝をゆっくり下げます。 膝が内側に入らないようにし、体幹をまっすぐ保つことがポイントです。 初めは浅い角度から始め、無理なく行いましょう。
5. 可動域を広げる安全なストレッチ
筋肉が硬くなると膝の動きが制限され、フォームの崩れや再発につながります。 以下のストレッチを取り入れ、柔軟性を維持しましょう。
5-1. 太もも前(大腿四頭筋)ストレッチ
立位または横向きで膝を曲げ、足首を軽く持ち上げます。 太もも前側に心地よい伸びを感じるところで10〜15秒キープ。
5-2. 太もも裏(ハムストリング)ストレッチ
椅子に浅く座り、片脚を前に伸ばします。 背筋を伸ばしたまま上体を前に倒し、太もも裏が伸びる位置で静止。 10〜20秒 × 2〜3セット。
5-3. ふくらはぎストレッチ
壁に手をついて片脚を後ろに引き、かかとを床につけます。 ふくらはぎ(腓腹筋)が伸びていることを感じながら20秒キープ。
6. 自宅リハビリを継続するコツ
- 無理せず「習慣」にする: 毎日10分でもOK。続けることが最大の成果に。
- 鏡を使ってフォーム確認: 膝の向き・背中の角度を見ながら行うと効果UP。
- 疲労時は休む勇気も大切: 痛みや違和感がある日は回復を優先しましょう。
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8. まとめ
ACL再建術後の自宅リハビリは、継続と正しいフォームが最も大切です。 小さな積み重ねが、筋力・可動域・安定性のすべてを高め、再発を防ぎます。 「安全に、焦らず、継続的に」。 それが自宅リハビリ成功のキーワードです。


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